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「第2回どこでもMYカルテ研究会」開催速報
2010年9月30日開催
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 第2回どこでもMYカルテ研究会は、2010年9月30日(木)18:30-21:00 東京ステーションコンファレンスにて行われた。予想を超える160名もの参加 者を迎えて、会場は満員の盛況だった。医療関係者・IT技術者・政策担当者・自 治体関係者・情報教育関係者・ジャーナリスト・患者団体などに参加いただきま したが、今回は、東京駅そばという場所もあってか、医療情報をビジネスにする 立場の方々(ソフト&ハード両方とも)の参加が多い印象であった。
・研究会の内容は、U-tubeで閲覧できます。
第二回どこでもMYカルテ研究会動画
・web上でもいくつか報道されています。
フェイズ3『どこでもMYカルテ』(PDF)
竜崇正氏 20101101医療タイムス(PDF)
直前まで発言希望が相次いだので最終プログラムの確定は遅れてしまった。最終
プログラムは、次の通り。
第二回どこでもMYカルテ研究会プログラム  2010/09/30 進行: 増山茂(医療構想千葉)
第一部 基調報告 
座長:竜崇正(NPO法人医療福祉ネットワーク千葉理事長)
2. 野口聡(内閣官房IT担当室参事官) :「新たな医療IT化戦略と工程表」

第二部 電子カルテの現状と問題点ーどこでもMYカルテ実現のためにー
座長:高林克日己(千葉大学医学部付属病院副院長)
3.高橋長裕(千葉市立青葉病院院長):「病院運営の立場から」
4.尾林和子(社会福祉法人東京聖新会理事):「介護・福祉の現場に医療情報は来ません」
5.斎藤とし子(アイビー千葉・乳がん体験者の会):「患者の立場から」

第三部  モバイルを使った「どこでもMYカルテ」実現のための技術開発
座長:高野英行(千葉県がんセンター画像診断部部長)
6.白石美成(ソフトバンクモバイル プロダクトマーケティング本部 担当部長):
「 2次元バーコードを用いた患者情報のモバイルへの取り込み」
7.天野教之(天野医院)
「赤外線通信による患者情報のモバイルへの取り込み」
8.工藤 憲一(野村総合研究所 コンサルティング事業本部)
 「SaaSを用いた院外ライフログデータの連携」
9.嗣江建栄(ViewSend ICT株式会社)
「Telemedicine と どこでもMYカルテ」
10.大沼裕(株式会社ソフトウェア・サービス・技術営業部 標準化推進室室 長補佐)
 「病診・病患連携システムの現状について」
11.森田嘉昭(富士通ヘルスケアソリューション事業本部 医療ソリューショ ン事業部)
 「「どこでもMYカルテ」実現に向けた地域医療ネットワークへの取り組み」
12.齋藤直和(日本電気株式会社 医療ソリューション事業部 事業推進部長)
 「地域医療連携システムの運用技術」「シームレスな地域連携医療の実現」にあたっての患者同意取得について
13。舟橋毅(富士フイルム(株)ヘルスケア事業統括本部 メディカルシステ ム事業部)
 「富士フイルムが進める医療連携」

第四部 座長:竜崇正(NPO法人医療福祉ネットワーク千葉理事長)
14.全員討論
増山先生
司会 増山 茂
(医療構想・千葉)
 第一部、野口聡内閣官房IT担当室参事官の「どこでもMY病院」は,患者自身が医療健康情報を管理するPHR構想であり,「患者情報は患者のもの」という基本理念に立脚するものである。  この考え方は、第2部で「病院運営の立場から」発言した千葉市立青葉病院高橋院長ら大病院の院長、その勤務医、大学病院の医師、クリニックの医師、など当日出席していた医療関係者すべてが、立場を越えて共感するものであった。ここにこそ国民が適切な医療を受ける基盤がある。  また、がん患者として毎日の不安と戦うアイビー千葉(乳がん体験者の会)代表の斎藤とし子さんが求める、患者がカルテ情報を参照できる地域医療ネットワーク、とも共鳴する考え方であった。斎藤さんは、患者団体のだれもがこのどこでもMY病院の実現を強く求めるだろうと訴えた。野口氏は,標準フォーマットを採用し医療機関に負担をかけずに,患者にとって利用しやすいものにする必要があると説明した。
野口参事官 高林先生 齋藤とし子さん
野口聡
(内閣官房IT担当室参事官)
高橋長裕
(千葉市立青葉病院院長)
齋藤とし子
(アイビー千葉 代表)
・「どこでもMY病院」に対する私たちの考えをここに示します。
==>「どこでもMY病院」は、国民が等しく適切な医療を受けるツールである(PDF)
・患者の目から見た医療情報の現状をここに示します。
==>患者中心の医療とどこでもMY病院 斎藤 とし子(PDF)
 また,野口氏は「シームレスな地域連携医療の実現」については、情報の共有化だけではなく、疾病を予防し悪化を抑制するための情報連携にならなくてはいけないと述べた。
 この点に関しては、社会福祉法人理事の尾林和子氏の発言が注目を浴びた。介護・福祉施設を運営する氏は、介護老人保健施設・特別養護老人施設などでは, 医療上のリスクが高い入所者が多いにもかかわらず,医療機関から正確な医療情 報が提供されず,また多数の医療機関からの情報が集約化・一本化されていない現状を指摘し、医療・介護間での情報連携の仕組みの重要性を訴えた。在宅医療においても医療の情報は介護の情報と結びつかなければならないだろう。これからの「シームレスな地域連携医療の実現」を考えるにあたっては、医療と介護の情報連携は避けて通れなくなることだろう。
尾林さん
尾林和子
(東京聖新会 理事)

 第3部「モバイルを使った『どこでもMYカルテ』実現の技術開発」の部では、 ソフトバンクモバイル、野村総合研究所、ViewSend ICT株式会社、株式会社ソフトウェア・サービス、富士通、日本電気株式会社、富士フイルム(株)など、日本を代表する電子カルテベンダーなどが技術開発の現状を報告した。
実際に電子的にカルテ内容を含む医療情報を患者さんに手渡している天野医院天野院長の取り組みも紹介された。
プログラムをみると、実に様々な取り組みが行われていることがわかる。この自主的な多様性からこれからの基礎を決定するであろう。

天野先生
天野教之
(天野医院院長)
全体討議の座長を務めた竜崇正(NPO法人医療福祉ネットワーク千葉理事長) は、日本の電子カルテベンダーが、患者や医療機関に負担を強いる開発姿勢をとってきたことを批判しながらも、最近では,ベンダーも患者や病院や社会全体に視線を向けつつシステム開発を行うようになってきたことを指摘、どこでもMYカルテが実現すれば、重複診療や過剰診療などを防ぎ医療費を削減することができるとまとめた。
竜先生
竜崇正
(医療構想・千葉 代表)
 実際、この研究会後、医療機関とICTベンダーとが連携した実証実験が始まっている。また、医療や介護の領域だけではなく、健康情報領域の情報とも有機的に 関連させる試みもすでに始まっている。

第3回どこでもMYカルテ研究会は、これらの実践を報告する会にする予定です。 どうぞご参加ください。

どこでもMYカルテ研究会事務局